動画01 「マスクドライアイ」可視化実験動画
~マスクによる角膜への影響について眼科医が解説~

長期化するマスク生活によりドライアイ症状がでる、または悪化するといった事例が日本国内ならびに海外でも報告されています。国内でも「マスクドライアイ」の研究が進められており、先日行われた角膜カンファランス2022(22年2月)において、この研究の第一人者である東邦大学医療センター 大森病院眼科の堀 裕一先生のグループから報告がありました。
このようにマスクとドライアイの関係が注目されている状況を受け、当研究室では堀 裕一先生監修のもと実験を行いました。その結果、呼吸に伴ってマスク上部から呼気が漏れ、それが目にかかっている様子が確認できました。このことから、マスク生活が当たり前となっている今、ドライアイのリスクが高まっていると示唆され、私たちは今まで以上に角膜を意識したアイケアをしていく必要があると言えます。

※「マスクドライアイ」とは、マスク着用時に上部から呼気が漏れ、目にかかることで涙が蒸発し、目の乾燥につながることを言います。

マスクでドライアイになりやすい?「マスクドライアイ」可視化実験

<マスク着用時:マスクのすき間から呼気が漏れ出て目にかかる様子>

<実験概要>
  • 実施日 :
    2022年1月18日(火)
  • 実施場所:
    新日本空調株式会社 東京本社 クリーンルーム
  • 実施概要:
    マスク着用時に漏れ出る呼気の流れを可視化。※一般的な不織布マスクを着用
  • 被験者 :
    20代女性1名、20代男性1名、30代男性1名  計3名
  • 実施主体:
    現代人の角膜ケア研究室
  • 実験協力:
    新日本空調株式会社(微粒子可視化システムを使用)
  • 実験監修:
    東邦大学医療センター 大森病院眼科 教授 診療部長/堀 裕一先生

「マスクドライアイ」と角膜の傷

ウィズコロナの時代において、マスクが手放せない今、私たちは断続的にドライアイになりやすい状態にあります。また、ドライアイの状態では、涙が不足し、角膜がむき出しになり、傷がついてしまう可能性があります。角膜に傷がつくと、疲れや乾き感、ゴロゴロするなど、様々な不快症状につながるため注意が必要です。

東邦大学医療センター 大森病院眼科 教授 診療部長
堀 裕一先生 コメント

実験動画から、マスクと鼻のすき間から呼気が目の表面に当たっていることがわかります。
私たちが行った「マスク装用が眼表面に与える影響についての検討」に関する研究では、マスク着用時は未着用時に比べて涙液層破壊時間(BUT)※1が短くなることが分かっています。※2 つまり、マスク着用時に漏れ出る呼気が目にかかると、涙が乾きやすくなるということです。マスク生活が定着した現代は、ドライアイのリスクが高まっていると言えます。さらに目や涙が乾燥するだけでなく、角膜の傷にもつながる可能性があるため、注意が必要です。
このように長時間のマスク着用により慢性的にドライアイのリスクが高まっている今、私たちは目を守るためにより一層アイケアが重要となっています。
さらに、PCやスマートフォンを見る時間の増加により目を酷使していることや、自律神経の乱れから涙の量と質が低下していることなど、コロナ禍において私たちの目は日々危険な状態に晒されていると言えるでしょう。そこでドライアイ予防策として、おすすめしたいセルフケアの方法をご紹介します。

  • ※1涙液層破壊時間(BUT):ドライアイ診断をする際の指標の一つ。目を開けたまま瞬きをしない状態で、涙の層が壊れるまでに要する時間のことを指す。
  • ※2出典:「マスク装用が眼表面に与える影響についての検討」糸川 貴之、岡島 行伸、岩下 紘子、鈴木 崇、堀 裕一より、角膜カンファランス2022にて発表。
東邦大学医療センター
大森病院眼科 教授
診療部長
堀 裕一先生
東邦大学医療センター大森病院眼科 教授 診療部長 堀 裕一先生

おすすめのアイケア方法

①意識的にまばたきを増やす
パソコン作業などに集中すると、通常自然に行っているまばたきの回数が減ってしまいがちです。
意識的にまばたきをすることで涙の蒸発を防ぎましょう。
②パソコンで作業するときは少し視線を下げる
上を向くとまぶたが開いて、より目が乾きやすくなってしまうため、モニターは少し見下ろす位置に置きましょう。
③作業の合間に目をしっかり休める
1時間の作業につき5~15分程度の休憩が望ましいです。少し遠くを見ることや、可能ならば目を温めるのも効果的です。
④点眼薬で目を潤す
目をいたわり、角膜のケアをするためにも用法用量を守って適切に使うことが大切です。点眼薬を差し過ぎると、逆に涙の膜が壊れ、質が低下し、角膜が傷つきやすくなってしまうため、1日5回~6回前後を限度とすることがおすすめです。