人類史上初めての角膜危機~現代は角膜が付きやすい時代

コラム02 テレワーク時代・角膜の傷リスクの増加

順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科 先任准教授 土至田宏先生 コメント

パソコン・スマホはもちろんのこと目を集中して使う趣味、ストレスも目を傷める原因

『外出自粛下の目の疲れ・不調に関する実態調査』では、外出自粛中の不調な身体の部位として「目」が最も高い結果となっています。
これは、『新型コロナウイルスの影響によるメディア接触行動変化レポート』にあるように、テレワークの増加によるパソコンやスマホ、タブレット端末などモニターを見る時間や、テレビ視聴、ゲームアプリなど趣味で目を使う時間が増えたことが関係していると思われます。自宅ではモニターまでの距離、姿勢、光量や空調などの仕事環境が職場ほど整っていない可能性もあります。通常、まばたきは1分間に20回程度ですが、人は集中してものを見ると瞬きの回数が減ってしまい、目を開けている時間が長くなるので、目が乾燥しやすくなります。特にモニターを見続けるとまばたきが4分の1、つまり1分間に5回程度までに減少するという報告があります。さらに先行きの不透明な情勢によるストレスによる影響も多いのではないかと思われます。ストレスを感じ、緊張状態になると自律神経のバランスが崩れてしまい、ピント調節機能がうまく働かなくなったり、涙の分泌量が減ってさらに目が乾くことで、余計に見えにくさが増長されてしまうのです。

目が乾燥し角膜を保護している涙の量が少なくなると、さまざまな症状が出てきます。目が乾く、目がゴロゴロする、目がかすむ、ピントが合わない、目の疲れや頭痛や肩凝りがひどくなるといった眼精疲労、さらにはドライアイ症状がひどくなった場合は充血や目を開けていられない、目の痛みなどを感じるようになることもあります。

角膜はそもそも傷つきやすい部位。そのまま放置すると、角膜(黒目)や結膜(白目)に傷がつき治療が必要になることもあります。

今回、外出自粛中に長時間モニターを視聴したり目を使う趣味の時間が増え、目の疲れや不調を感じている人は、角膜に傷がつくリスクが高まって角膜に何らかの影響が及んでいる可能性もあると思われます。

目の疲れ・不調はストレスや不眠など、心身の不調を招く恐れ

更に「目の疲れ」や「不調」の影響は目だけに限りません。頭痛や肩こりに加え、慢性化すると自律神経の乱れから、今回の調査に見られるようにストレスや不眠、イライラ、気分の落ち込み、更にはうつ、不安障害につながることもあります。

PC作業1時間ごとに目を休め、目薬で目をケアするのも効果的

「目の疲れ」や「不調」は睡眠をとったり、まばたきに気をつけるだけでは十分改善されません。モニターまでの距離に合った眼鏡等の調整も重要です。今回の調査では、目の不調を感じているにもかかわらず、目のケアをしていない人が約5割もいましたが、まずはホームケアでも良いので、しっかりと目をケアすることが必要です。ただし、改善が見られない場合やよほど辛い場合は速やかに眼科を受診してください。

ケア方法としては、目をしっかり休めること。1時間PC作業をしたら、モニターから目を離し適宜目を休めるのが目安です。目の疲れや乾きを感じたら、症状に応じた目薬を使うことも効果的です。疲れを感じたらホットアイマスクなどで目を温め、目の周辺の血流を良くすることも有効です。

順天堂大学医学部 附属静岡病院
眼科 先任准教授
土至田宏 先生
順天堂大学医学部 附属静岡病院 眼科 先任准教授 土至田宏 先生

外出自粛で約3人に2人が目の疲れを実感

外出自粛となり、疲れを感じることが増えた部位
図1
  • 外出自粛により最も疲れや不調が増えた身体部位は「目」(図1)
  • テレワークによりPC仕事が平均4.5時間から5.7時間に増加。テレワーク実践者の7割以上が目の疲れを実感。外出自粛生活で、目の酷使の実態が明らかに。(図2)
  • 「目の疲れ」のケアを「特にしていない人」が6割。目の不調を感じることが増えていても、目のケアはおろそかになりがちな実態も明らかに。(図3)
外出自粛の現在、目の疲れを感じているか
図2
外出自粛下で目の疲れを癒すためにするようになったこと
図3

出典:『外出自粛下の目の疲れ・不調に関する実態調査』

【「外出自粛下の目の疲れ・不調に関する実態調査」調査概要】
  • 調査主体:
    ライオン株式会社
  • 期間:
    2020年5月8日(金)~ 5月11日(月)
  • 調査地域:
    東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県
  • 方法:
    インターネット調査
  • 対象:

    外出自粛をしており、下記条件のいずれかに該当する 男女計300名

    パソコンを使ってテレワークを実施している 20~60代 男女計150名

    テレワークをしていない有職者もしくは主婦、学生 20~60代 男女計150名

緊急事態宣言下でのTV、PC、Mobileの1日・1人あたり接触時間変化の推移

  • 緊急事態宣言の影響で、すべてのデバイスで接触率が増加
  • 特にTV・PCで増加。TV・PCとも、 3/16週(土日祝日)に“自粛疲れ”で外出が多くなったためか接触時間が減少。再度、「東京都知事の不要不急の外出自粛要請」をきっかけに、3/23週(土日祝日)から急増
  • TVは、平日3/30週から急増、4/13週まで伸長。土日祝日は4/6週をピークに横這い
  • PCは、平日・土日祝日とも4/13週まで伸長傾向
緊急事態宣言下でのTV、PC、Mobileの1日・1人あたり接触時間変化の推移